ウィンブルドン 壮絶4時間18分 激闘制しフェデラー
【ウィンブルドン(英国)笠原敏彦】テニスのウィンブルドン選手権最終日は5日、男子シングルス決勝で、ロジャー・フェデラー(スイス)がアンディ・ロディック(米国)との4時間18分に及ぶフルセットの激闘を制した。2年ぶり6回目の優勝となり、ウィンブルドン6勝は歴代3位。優勝賞金は85万ポンド(約1億3300万円)で、世界ランキングで昨年8月以来の1位復帰も確定した。
フェデラーは、初優勝を目指すロディックを5-7、7-6、7-6、3-6、16-14で降した。男子シングルス決勝での77ゲームは、昨年のフェデラー・ナダル(スペイン)戦の62を更新する大会記録。4大大会でも1927年のオーストラリア選手権(現全豪オープン)の71を上回る最多となった。ロディックはウィンブルドン3回目の準優勝で、03年全米以来の4大大会勝利はならなかった。
◇2度の「まさか」
どよめきと歓声が交錯する中で、センターコートは歴史的な瞬間に近づいていった。最終セットの第30ゲーム。試合開始から4時間18分、死力を尽くしたロディックがフォアをミスヒットすると、フェデラーは跳び上がって喜びを表現した。
テニスの聖地での「王冠」奪還と未到のグランドスラム15勝。フェデラーは「僕のテニス人生において信じられない瞬間だ」と笑顔を見せ、ロディックも「彼こそ真のチャンピオン」と祝福した。
壮絶な戦いだった。前半で「まさか」が2度起きた。5-5の第1セット第11ゲームで、フェデラーが4度のブレークポイントを生かせず、セットを落とす。逆に、第2セットのタイブレークでは、ロディックが4度セットポイントを握りながらバックハンドのハイボレーをミスするなどしてセットを失った。
冷静さを失わない王者と、過去の対戦成績2勝18敗にひるまない挑戦者。フェデラーは緩急をつけたサーブでエースを量産(計50)。ロディックのファーストサーブは210キロ前後を維持し、ベースラインからのラリーでも負けていない。最終セットももつれたが、15-14から疲れの出たロディックがミスを重ね、フェデラーが2度目のジュースでブレークして激闘に終止符を打った。
総ポイント数はフェデラー223、ロディック213でわずか10ポイント差。「僕はウィンブルドン決勝の第5セットがどんなものか知っているんだ」。フェデラーの言葉がすべてを物語った。
◇ロディック悲願あと一歩
ロディックはコート脇でじっとうなだれていた。過酷過ぎる敗北。しかし、1万5000人の観衆から「ロディック」コールが沸きあがると、両手を上げて拍手に応えた。
昨年は2回戦敗退。自信を失い、ブルックリン夫人(当時は婚約者)と将来を話し合ったという。その結論は「再チャレンジ」。名コーチ、ラリー・ステファンキ氏の指導を受け、「食事から睡眠まで」すべての面でベストを尽くしてきた。
約6キロ減量した結果、フットワークは軽くなり、テニスが変わった。打点に入るのが早くなった分、ストロークは攻撃性を増し、4年ぶりの決勝進出への原動力になった。
技術的にはほぼ互角の決勝だった。勝負のあやは、傾きかけた太陽がコート上に織り成す光と影など、ささいなことだったのかもしれない。「自分のプレーには満足している」。ロディックは記者会見でそう振り返った。
4大大会での優勝は03年の全米だけ。「一度限りの王者」と呼ばれる悔しさをバネに、新たなタイトル獲得への戦いは続く。
以上
リアルタイムで見ていた私にとっては、ホントに「すごい試合を見た」という感想以外の何物でもないですね。
まあ、まずはフェデラーですが、とにかく集中力が切れない!そして、無尽蔵なスタミナ。隙の無いショット…どれをとっても完璧です!
今まで私が見てきたテニスプレーヤーの中でも、間違いなくNo.1のプレーヤーだと思います。
そして、ロディック。ビックサーバーとして名を馳せて、今回さらにストロークにも磨きをかけてフェデラーに挑んだ彼のプレイにも、ただただ驚くばかりです。
最後の最後は力尽きてショットをミスってしまいましたが、そのプレイを非難する事は出来ないでしょう。あれだけのビックサーブを打ち続けて、握力が弱らない訳が無いんですから…。
あえて「たられば」を言うのであれば、第2セットのタイブレーク、セットポイントを取っていた時のバックボレーミスは痛かった。あれが決まっていれば、流れは変わっていたかもしれないです。
とは言え、双方とも素晴らしいプレーヤーです。
後は、今は怪我で戦線を離脱しているナダルが復帰してくれる事を祈るばかりです。
今回、彼は欠場しましたが、この決断は正解だと思います。100%の状態で挑まないと、この両選手には到底かなわないくらいの強さでしたから…。
ちなみに、今回のウィンブルドンの結果で、フェデラーが世界ランク1位に返り咲きます。
27歳。まだまだ老け込むには早過ぎる年齢。
今から、全米オープンが楽しみです。